日光市内に残されている文化財を守り伝えるため所有者や管理者のご理解と協力を得ながらその保護と活用を図っています。
名称 |
銅製鰐口(正慶元年銘) |
種別1 |
有形文化財
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種別2 |
考古資料
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員数 |
1口 |
地域 |
日光
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所在地 |
日光市下鉢石町 |
- 解説
- 鰐口とは、寺社の御堂正面軒先(おどうしょうめんのきさき)に吊(つ)り下げられ、参拝者が布で編んだ綱を振り動かして打ち鳴らす仏具(ぶつぐ)。この鰐口には、中央に「日光山 奉施入」、右側に「大真子 ハニ口 金剛仏子 重祐」、左側に「正慶元年壬申九月 日 敬白」の銘文が刻まれているので、日光連山の霊峰の一つ大真名子山(おおまなごさん)に関わるもので、正慶(しょうぎょう)元年(1332)に重祐という僧侶が奉納(ほうのう)したことがわかる。
表面の摩耗度が多いが、裏面は原形をほとんど遺しており、均整のとれた圏界線の鋳(い)あがりの丹念な出来ばえが確認でき、全体に質の高い鋳造技術によって造られた優品である。また、鎌倉から室町期にかけて盛んだった日光山岳修(しゅ)験(げん)信仰の遺物として貴重である。
なお、極めて小型であり、撞座部(つきざぶ)の摩耗度に比べて、耳部の懸け垂れの摩滅がほとんど見られないので、修験者の携帯用の仏具であった可能性もある。
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