日光市内に残されている文化財を守り伝えるため所有者や管理者のご理解と協力を得ながらその保護と活用を図っています。
名称 |
木製漆(絵)椀 |
種別1 |
有形文化財
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種別2 |
工芸品
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員数 |
1口 |
地域 |
日光
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所在地 |
日光市小来川 |
- 解説
- 稲荷(いなり)社の神事に使用された椀(わん)である。口縁(こうえん)部がわずかに反り返る端反(はぞ)り形、側面下方に一条の段を刻み、高台は末広がりで器胎(きたい)を支える。材質は不明だが、柾目(まさめ)材を用いた一木造り、表面に浅く筋目を残すがほぼ平滑(へいかつ)に仕上げる。椀の表面は薄く下地漆を塗って木地を固め、その上に地(じ)の粉(こ)を混ぜた漆を塗って研(と)ぎあげ、全面に黒漆を塗り朱漆で等間隔に三弁を描く。
朱漆銘は側面の三弁間に各一行で「明應四乙卯」「奉施入」「赤□□」とあり、高台裏にも「永南坊/権少僧都(ごんしょうそうず)/慶源」とある。樹心(じゅしん)が「奉施入」と書かれた口縁部の前面にあり、高台裏に書かれた文字は樹心に向けて書かれている。恐らくこの面を社殿に向けて捧げたものと考えられる。
椀の形や高台の高さ、安定感もほど良く、中世的な力強さと素朴さを感じさせる形姿である。また口縁部が0.7cmと薄く、用に徹して大変軽いこともこの椀の特徴である。
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