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名称 中丸目遺跡出土の土師器
種別1 有形文化財
種別2 考古資料
員数 1点
地域 藤原
所在地 日光市鬼怒川温泉大原


解説
 この土師器は、和泉式時と呼ばれるものであるが、鬼高式土器に近い特徴を持つので、五世紀末のものと見られる。口緑部が「く」の字状に外反し、胴部はやや縦長となっている。底部は小さく胴部の張が強い。土師器の外面は口緑部に横なで、胴部には縦と斜めのへら削りが見られる。
 この土師器を、和泉式でも鬼高式に近い時期のものとしたのは、胴部がやや縦長であることである。和泉式の特徴は、かめ型土器の場合胴部が球形に膨らんでいるが、次の鬼高式は球形から縦に長い形に変化する。この土師器は両様式の特徴を兼備しているので、頭書のように見たものである。
 この土師器には、表面にすすが付着している。したがって、煮沸用に利用されていたことを示すもので、食生活の跡を知ることができる。ただ、この遺跡附近にこの時期水田が経営されたとは考えにくく、離れた場所に水田を持ったか、畑作のみであったか、両様であったか、何れかであったろう。また、この土師器が語りかけてくれることは、中丸目の古墳時代人が、この辺りを勇気を持って開拓し、農耕生活をはじめたということである。それは付近一帯が狩猟、漁撈を営むのには適しているのに、この期の主生産農耕には必ずしも適地ではなかったろうと考えられるからである。
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