日光市内に残されている文化財を守り伝えるため所有者や管理者のご理解と協力を得ながらその保護と活用を図っています。
名称 |
芹沢薬師堂内文政十三年北川子直銘三十六歌仙扁額 |
種別1 |
有形文化財
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種別2 |
絵画
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員数 |
35面 |
地域 |
藤原
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所在地 |
日光市芹沢 |
- 解説
- この扁額は、芹沢薬師堂内壁面に掲げられており、桧材板三十六歌仙の肖像並びに代表歌一首を描いたものである。色彩も殆ど描かれた時のままと見られ、極めて良好に保存されてきた。鮮やかにしかも艶やかに描かれた歌仙絵は優品である。
最後の板材に「三十六歌仙画」「干時文政13(1830)年夏6月吉祥日 東都画師 北川子直」とあり、落款もある。これによって、歌仙画作者と製作年代は銘の通りと認められる。作者北川子直については不詳の部分も多いが、「東都」は江戸を指し、文政13年は有名な喜多川歌麿がすでに没し2代目の時代であった。
いずれにしても、日本文化史上の一つの隆盛期であった化政期(1804~30)の江戸絵師の手になるものが、その末期に遠くこの地に及び、鮮やかに伝えられてきたところに面白さがある。これら歌仙絵を子細に見ると、本地域の近郷の村々から願主が薬師如来に奉納という形で浄財されたもので、この形は明治期まで続き、さらに簡素化されながら最近まで続いてきたことが認められる。芹沢薬師如来の一つの信仰形態をうかがい知る上で貴重な一資料となろう。
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