日光市内に残されている文化財を守り伝えるため所有者や管理者のご理解と協力を得ながらその保護と活用を図っています。
名称 |
木造 十一面観世音菩薩立像 |
種別1 |
有形文化財
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種別2 |
彫刻
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員数 |
1躯 |
地域 |
藤原
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所在地 |
日光市藤原 |
- 解説
- この十一面観音は、金泥塗りの木像である。胸部と前衣の一部に欠落がみられるほか、前頭部の十面体の像にも若干の欠損がみられるが、全体として保存状態は良好である。
欠落欠損部は、慶応4(1868)年の戊辰戦役の際に、藤原で行われた激戦によって受けた損傷であると思われる。
藤原を舞台にした戦いでは、会津軍が終始優勢にあった。しかし、白河方面では、会津軍は逆に苦戦を続けていた。この劣勢を挽回するために、藤原の軍が応援に向かうことになり、橋をこわし、人家を焼き払って引き上げた。この時会津軍の中野善六なる人物が、戦火の中からこの十一面観音を救い出したとの由来を、その子孫が昭和15年頃当寺を訪ねて来て話したという。
観世音菩薩は、仏教における諸菩薩の中でも最も慈悲を表す仏である。最も現世利益のあらたかなものとして広く信仰されている。観世音菩薩は、聖観音を根本総体として、千手・如意輪など多くの種類をとるが、十一面観音もそのひとつの形である。
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